マインドフルネスの話

マインドフルネスが痛みを緩和する神経回路が判明

出産時の痛みを和らげる呼吸法として、「ラマーズ法」が現代においても広く使われているように、私たちは経験値から、呼吸が痛みを和らげることを知っています。そして、それは決して気休めではなく、呼吸することで実際に痛みを軽減する神経回路が働いていることが、昨今の研究によって明らかになりました。

カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部が実施した実験は、40人をマインドフルネス瞑想を行うグループと対照群の2グループに分けて行われました。グループそれぞれに、足に痛みをともなう熱を与えながら脳の測定も行われました。結果、瞑想を行ったグループは痛みの強さが32%、痛みの不快感が33%、それぞれ軽減されることが判明。

参加者の脳活動を分析したところ、マインドフルネス瞑想を行うことで、痛みの感覚に関与する脳領域と、自己感覚と関係する脳領域との間の連携が抑制され、痛みの感覚が軽減されることが分かりました。

研究者は「痛みに対する即効性のある非薬物的治療を探している人々にとって重要な発見」と語っています。

軽い頭痛や生理痛、関節痛などに頻繁に苦しんでいる人は、少し時間を見つけて、静かに呼吸瞑想をすることで、痛みを緩和させることが期待できそうです。鎮痛剤に頼る前にぜひ、試してみてください。

参考:https://journals.lww.com/pain/Abstract/9900/Disentangling_self_from_pain__mindfulness.127.aspx

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医