マインドフルネスの話

「時間がない!」がなくなるマインドフルネス仕事術

毎日、山ほどの多種多様なタスクに追われている現代のビジネスパーソンの多くが、「時間がない!」という悩みを抱えていることでしょう。しかし、様々なテクノロジーが次々と使えるようになった今、10年前どころか5年前と比べても、仕事の負荷やスピードは軽減しているはずです。なのに、なぜこんなにも現代人は「時間がない」という感覚に、つねに追われているのでしょうか?

大きな原因の一つとして、「マルチタスク」があるといえます。

電話をしながらパソコンを操作したり、スマホを触りながらテレビをみたり、メッセンジャーアプリでやりとりしながら動画を視聴したり。これでは意識が秒単位で次から次へとスイッチしていくため、脳や精神は目まぐるしく変わるタスクに追われ続けてしまいます。
その一方で、一つのことに集中しないために作業効率は落ち、仕事が思ったよりも捗らなくなるのです。

実際に、ハーバード大学が行った調査によれば、働いている時間のうち約47%は目の前の仕事に集中していない「マインドワンダリング(心の迷走状態)」にあることが分かっています。これでは、仕事の能率も半減するのは無理もありません。

マルチタスクで意識を小刻みにするのが「時間がない!」の正体、というわけです。であれば、「今、この瞬間」の目の前の仕事に一定時間集中して取り組むことで、時間が足りないという焦燥感から解放される有効な手段となるでしょう。

一日の仕事始めには、5分間のマインドフルネスの呼吸瞑想を習慣にする。それだけで、目の前の仕事に集中するマインドセットができるはずです。ぜひ試してみてください。

参考:https://news.harvard.edu/gazette/story/2010/11/wandering-mind-not-a-happy-mind/

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医