2024.02.09
ニューヨーク州の幼稚園から高校まで導入されるマインドフルネスの呼吸法
ユニセフ(国連児童基金)「世界こども白書2021」によれば、現代の10~19歳の若者の7人に1人以上が心の病気の診断を受けているといわれています。国内においても、2022年の小学生から高校生までの自殺した人数は512人と過去最多に。この現状から、これまで目を向けられていなかった子どもたちのメンタルヘルス問題が今、世界的に問題視されるようになってきました。
そんな状況のなか、昨年6月に「子どもたちのたちのメンタルヘルス改善のために、マインドフルネスの呼吸法を導入する」と決定したのが、ニューヨーク州公立学校の教育者たちです。すでに試験的に導入されたベッドフォードスタイベサント地区の公立学校では、子どもたちにポジティブな変化がみられたとのこと。
同学校のカウンセラーは「以前よりも落ち着きがみられるようになり、口論することも減ってきた」と語っています。同学校の生徒も「呼吸を行うことでストレスが消えた」とポジティブな効果を実感しているようです。
今後、各学校ではマインドフルネスの呼吸法を指導できる職員の育成が行われるとのこと。朝のホームルームや体育の時間が、生徒たちのメンタルケアにあてられることになりそうです。
学校での人間関係や勉強によるストレスだけでなく、世界的なパンデミックや紛争、テロに対する不安から、子どもたちのメンタルは常に不安定になりやすいものです。そんな繊細な子どもたちに対する有効なメンタルケアとして、今後、マインドフルネスの導入が世界的に広がりを見せるかもしれません。
お子さんをお持ちの皆さんも、家族みんなで心と脳を休める静かな時間を共有するために、家庭内でマインドフルネスの呼吸法を行う時間を作ることをおすすめします。
川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医