マインドフルネスの話

「歩く瞑想」で心と体をリセット

外へ出かけたくなるような、気候のよい季節は、ぜひ、いつもの瞑想を外でウォーキングをしながら行ってみることをおすすめします。

瞑想というと、じっと坐禅を組んで静かに行うもの、というイメージが強いのですが、実は、マインドフルネスのルーツである禅の修行でも、坐禅の合間に行う「経(きん)行(ひん)」と呼ばれる「歩く瞑想」が、古来より行われているのです。体を動かすことで全身の筋肉をほぐし、体と心を同時に、ゆるやかに開放することができる方法です。

紅葉の並木道の散歩

特に難しいことはありません。リラックスした状態で背筋を伸ばして立ち、ゆっくりと歩くだけ。このときに、自然な半眼の状態にしながら、数メートル先の地面のあたりを見ます。安全を確保しながら、足もとを見ない状態で足の感覚に意識を向けることが、コツです。「かかとが上がる」「つま先が上がる」「移動する」「着地する」―-と、心の中で4つの動きを追いかけるようにして、言葉にして唱えながら歩きましょう。

慣れてきたら、片足が着地した瞬間に、もう片方の足のかかとが上がり始めている、ということに意識を向けてみましょう、この一方の足から反対の足へ「注意の切り替え」をすることが、重要です。歩き続けるうちに、雑念が湧き出てきたときにも、同じように雑念があることを認識し、確認をした後で「よし、戻ろう」とまた足の動きに集中する「注意の切り替え」を行ってください。

動きを唱えながらゆっくりと歩くことに集中し、その動きの一つ一つを深く、丁寧に味わうことで、様々な不安や怒り、焦燥感の連鎖をいったん断ち切り、気持ちをリセットすることができます。歩く時間や長さはいくらでもかまいません。1日数歩だけでも、丁寧に歩くことを体験してみてください。