マインドフルネスの話

迷いを断ち切る呼吸瞑想

転職をしようかどうしようか? 結婚をしようかどうしようか?

人生を左右するような大きな選択を前にしたとき。私たちは迷いから抜け出せず、決断することが難しくなりがちです。「失敗したらどうしよう」「取り返しがつかないことになるかも」と不安があふれ、グルグルと考え込んでしまうとマインドフルネスでいうところの心が今ここに定まらず、さまよったままになる「マインドワンダリング」という状態に陥り、判断をすることはさらに困難に。

こういうときには「なんとか正しい答えを出さなくては…!」という意識から一度離れて、静かな場所で呼吸瞑想をすることをおすすめします。そんな悠長な!と思うのはちょっと待ってください。不安やネガティブな想像で心が定まらない状態では、よりよい選択をするための「気づき」を得ることはできません。まずは心を落ち着かせることが必要です。

まずはじめに5~10分ほど呼吸瞑想を行い、「今ここ」に集中したマインドフルネスの状態になったら、次のイメージ瞑想を行ってみましょう。

「今の仕事を続けている自分」
「新しい仕事をしている自分」

順番にイメージしてみたときに、より明るい気持ち、ポジティブな気持ちになれたほうはどちらだったか。マインドフルネスな状態から自分自身に問いかけることで、不安やネガティブな妄想に引きずられることなく、より冷静で客観的な判断が下せるようになれます。

もちろん、未来のことは未確定なので、その選択が正しかったかどうかはもっと先になってみないとわかりません。しかし「今この瞬間に正しいと判断できること」を冷静に導き出すためには、とても有効な方法といえます。迷ったときにはぜひお試しください。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医