マインドフルネスの話

「仕事が頭から離れない」を改善する「リトリート瞑想」

「休日も気が付くと仕事のことを考えていて、気持ちが休まらない・・・」
そんな悩みを持つビジネスパーソンは少なくありません。押しているスケジュールが気になったり、達成していないノルマを思い出して気が重くなったり。真面目な人ほど、休日も仕事のことばかり考えてしまって頭がいっぱいになり、休んだ気にならないものです。

たとえ体は横になっていても、脳は「DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)」という機能がフル稼働することでヒートアップしてしまいます。それがあまりにも長く続けば、うつ病や不安障害といった精神疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。いわゆる「バーンアウト」、あるいは「燃え尽き症候群」と呼ばれる現象とも関連が考えられています。

そんなときは一度日常から体を物理的に引き離し、非日常に身を置いて「リトリート瞑想」をすることをおすすめします。「Retreat(リトリート)」とは、英語で「避難」「退却」「撤退」という意で、最近では、日常から離れた場所でリフレッシュする意で使われています。

「非日常」というと山や海のリゾートなどをイメージしますが、一般的に頻繁に訪れることは時間的にも経済的にも難しいものです。そのため、私がおすすめしたいのは「プチリトリート」です。自宅やオフィスから歩いて数分でいけるくらいの場所に自分だけのリトリート空間をみつけ、そこで瞑想を行いましょう。公園やベランダなど、他人からの視線があまり気にならず、空や風、植物などの自然をできるだけ多く感じられるところがおすすめです。

そこでほんの数分間、呼吸瞑想や歩く瞑想などのマインドフルネス瞑想を行うだけで、脳が一度リセットされ、仕事から切り離されて心の落ち着きを取り戻すことができるでしょう。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医