マインドフルネスの話

失敗したときのマインドフルネス解決法

仕事上でミスをしたとき、なかなか立ち直れない、というのはよくあることです。「あのとき、ああしておけばよかった」「どうして間違えてしまったんだろう・・・!」といった考えにとらわれて、失敗したことが忘れられなくなり、周囲の人たちの目も気になって、前へ進むことが怖くなったりしてしまうことも。

こうした失敗に対してなかなか立ち直れないタイプの人は、行き過ぎたネガティブ感情にとらわれてしまうことが原因といえます。

「そうはいっても、反省することは必要では?」と思うかもしれません。しかし、失敗の原因となった「事実」をしっかりと見据えて修正することと、罪悪感や後悔の念といった「感情」とは切り分ける必要があります。

「仕事上でミスをした」という場合、それに対する反応には「なんてことをしてしまったんだ」「自分はもうダメだ」という感情に基づく反応と、「失敗したことを取り戻す方法は何だろう」といった分析的な認知に基づく反応の2つがあります。当然ながら、事実をありのままに見つめる、マインドフルネスで考える「メタ認知」は、後者です。

失敗から立ち直るための術を見つけるためには、ネガティブ感情にとらわれているよりも、より分析的に考え、行動できる自分を取り戻すほうがずっと建設的です。失敗をしたときは「事実と感情を切り分ける」。そして過去に引きずられることなく、次の仕事に向かいあうことで、ネガティブ感情を断ち切ることができるはずです。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医