マインドフルネスの話

「時間がない」人のためのマインドフルネス

忙しいビジネスパーソンは、毎日分刻みのスケジュールの中で生きています。マインドフルネス瞑想(坐禅)をスティーブ・ジョブズは、毎日1~2時間も行っていたとか、フェイスブックやGoogleをはじめとするグローバル企業も推奨していることは知っているし、パフォーマンスアップに役立つから実践したいとは思うものの・・・その忙しさの中で「毎日数十分も時間をとることを習慣にするのは難しい」と感じている方も少なくないでしょう。

しかし、「今この瞬間をとらえる」マインドフルな状態は、時間をかけなければ得られないものではありません。静かな環境のなか、じっと座って時間をかけて瞑想しなくても、マインドフルネスな精神状態に整えることは可能です。

では何をすればよいのかというと「マインドフルな生活をする」ことです。

朝食を一口一口、しっかりと味わったり、一歩一歩に集中しながら駅までの道を歩いたり。電車の中で座りながら、軽く目を閉じて呼吸に集中するのもよいでしょう。いつもスマホを見ながら通勤している人は、そのときばかりはバッグにしまって、ひとつひとつの行動に集中します。

「今この瞬間をとらえる」生活行動を1日のうちに4回、5回と積み重ねることで、筋トレを日々重ねるように効果が表れてきて、マインドフルネスのメリットである集中力や平常心が徐々に高まる実感が得られることでしょう。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医