マインドフルネスの話

寝ても取れない疲れは、「脳の疲れ」かもしれない!?

「しっかり寝たのに疲れがとれない」と感じたことがある人は少なくないでしょう。休日にしっかり体を休めても、食事を見直しても、マッサージを受けてみても、どうもだるくて体が重い・・・そんなときは、体ではなく、脳が疲れている可能性があります。つまり、精神的な疲れからくる疲労感です。

「体がだるいのに、脳は関係ないんじゃないの?」と不思議に思われるかもしれませんが、実は、精神的な疲労によって、肉体的な疲労感も高まることが分かっています。

脳は、1つのことに集中している状態の場合は、さほど疲れません。反対に、複数の作業を同時に行う処理をすると、疲弊するという特徴があります。

現代人の生活は、食事をしながらテレビを見たり、歩きながらスマホを観たり、パソコン作業をしながら打ち合わせをしたりと、複数の作業を行う「マルチタスク」が常態化しています。そのため、脳には常に大きな負担がかかり、疲れ切ってしまうというわけです。

脳が疲れているときに、テレビを見ながらゴロゴロしていても、残念ながら疲れの解消にはあまり効果がありません。一度、脳をリセットすることが必要となります。

マインドフルネス瞑想は「今このときに集中する」状態をつくることで、脳をリフレッシュさせることが可能です。「頭がボーっとする」「一日デスクワークで体が重い・・・」というときは、1日の終わりに数分間の呼吸瞑想を行ってみてください。一日の脳疲労が効率的に解消され、翌日には体も軽くなることでしょう。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医