マインドフルネスの話

頭痛とマインドフルネス

いつ始まるか分からない頭痛に常に悩まされている……そんな人は少なくありません。実際に、日本臨床内科医会によると「日本人の3人に1人は頭痛持ち」であることが分かっており、その患者数の多さを物語っています。
その一方で、慢性頭痛患者の35%は「なにもしないで我慢する」、55%は「薬局で薬を買う」ことで対処をしていることも、調査で明らかになりました。つまり、9割の患者は、「我慢する」か「薬を飲む」という2つの対処法しか得られていないという厳しい現状が読み取れます。

そんななか、マインドフルネスが、効果的な頭痛対処法となりえることが、最新の研究で明らかになりました。
アメリカのウエイクフォレスト大学医学部の研究によると、片頭痛持ちの患者89人に、瞑想と簡単なヨガを組み合わせた8週間のプログラムを実施してもらったところ、頭痛発作が低減することが判明。さらに、痛みを感じる強度や不安感の程度も低くなることが明らかになりました。

頭痛は長年悩まされている患者が多く、仕事や生活に支障をきたすことが慢性化している人も少なくありません。薬以外の対処法のひとつとして、1日1回のマインドフルネスを取り入れることが改善の糸口になる可能性があります。朝晩の呼吸瞑想からぜひ、始めてみてください。

参考:Rebecca Erwin Wells, MD, MPH1; Nathaniel O’Connell, PhD2; Charles R. Pierce, MS1; et al, Effectiveness of Mindfulness Meditation vs Headache Education for Adults With Migraine, JAMA Intern Med. 2021;181(3):317-328.

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医