マインドフルネスの話

コロナ時代の新たな休暇の過ごし方

2020年から始まったパンデミックは、終息の見通しが立たないまま、行動制限が続いています。イベントやショッピング、観光に出かけることもなかなか難しいなか、これまで行動派だった人は、休日をどう過ごしたらよいのか、途方に暮れているケースが少なくないようです。

時間があれば様々なスポットに出かけていた人にとっては味気ない毎日が続いているのかもしれません。

そこで、おすすめしたいのは「マインドフルな休日」を新たなバケーションとすることです。予定やタスクをぎっしり詰め込まず、静かで穏やかな「今、この瞬間」を味わってみてください。

おいしいお茶をゆっくりといれて、ただ、それを味わう。丁寧にトーストを焼いて、ゆっくりと味わう。このとき、テレビも消して、ただ、その味や温度、食感に集中しましょう。
いつも持ち歩いているスマホは自宅に置いて、近所の公園を散歩するのもよいでしょう。目に入る緑やその爽やかな空気をいっぱいに吸い込み、脳も目も休めてみてください。そこでのんびりとお茶を飲んでもよいでしょう。歩くことに集中するのも、よいマインドフルネスの瞑想法です。

こうした「今、この瞬間」を味わうことに集中すると、いつも気ぜわしく働き続けてヒートアップしている脳を、はじめて休息した状態に整えることができます。

「脳を休ませるなら、ただボーっとしているほうがいいんじゃない?」と思いがちですが、実は、ただぼんやりしているときの脳は「DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)」という機能が活性化され、自動車がアイドリングしているような状態になっていることが分かっています。それが長時間続くと脳を疲弊させてしまうことになるのです。

「今、この瞬間に集中する」「今の状態に感覚を寄せて、それを楽しむ」。そんな新しいマインドフルな休日を楽しんでみてください。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医