マインドフルネスの話

国連も実践!テレワーク中のマインドフルネス

コロナ禍でテレワークが新しい働くスタイルとして急速に進んだこの1年。

すっかり定着したかのように思えますが、実は、少なくない人がうまくなじめていないようで「家にいると集中できない」「孤独感、不安感を持つようになった」という声も多く聞こえてきます。

また、自宅の中にい続けることで閉じ込められたような閉塞感を感じ、鬱々とした気分や不安を感じる人が増えてきています。

そんな中、国連ではテレワークのときに不安を感じたときの対処法として、「基礎的な健康習慣を実践する」「友人や家族と定期的に連絡を取る」に加えて「マインドフルネスを実践する」を推奨する通達を行ったといいます。

マインドフルネスは「今、このとき」に意識を向けることで、自分の存在や状態、目の前の瞬間に集中することができます。事実をありのままに認識する力が覚醒することで、「感じていた不安や孤独は、自分が心の中に作り出したものである」ということに気が付いたり、目の前のやるべき仕事に集中して取り組むことができるようになります。

とはいえ、テレワーク中に長時間の呼吸瞑想をする必要はありません。次のような要領で、できる範囲で行うことをおすすめします。

  • 仕事の前に5~10分の呼吸瞑想を行う。静かな環境で目を閉じ、自分の自然な呼吸に注意を向ける。意識が他に向いたときにはそれを静かに認識してそっと呼吸に注意を戻す。
  • テレワーク中はテレビやスマホを見ながら……といったマルチタスクを可能な限り最小限に抑える。
  • 仕事の合間の休憩中には、自分の体と心の状態を静かに見つめる。
  • オンラインミーティングのときには相手の顔や言葉に自分の意識を集中させて、事実をありのままに受け止める。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医