マインドフルネスの話

人間関係に疲れたら「書くマインドフルネス」

会社の同僚や友人たちとの付き合いのなかで、ふと「なんだか最近、疲れてしまったなあ」と感じることは誰もがあることでしょう。気の置けない友人と楽しく過ごした後、初めて出会った人たちと軽い雑談をした後など、どんなシチュエーションでもそうした瞬間はあるものです。

人は他者とコミュニケーションをすることで、相手の考え方や感情に刺激や影響を受けています。それはできればポジティブなものが理想的ですが、ときにはネガティブだったり、ポジティブとネガティブが混然としていることもあります。ネガティブ要素が強い場合には、やはり精神的に疲労することもあるでしょう。

そんなときの処方箋としておすすめなのが心の整理をするための「書くマインドフルネス」です。

人とコミュニケーションをして自宅に帰った後、少しの時間瞑想をして気分を沈めたら、紙に自分の気持ちを書き出してみましょう。あの人の言葉でうれしい気持ちになった、あの人と話した時はなんだか疲れを感じた、別れた後になぜかホッとした……など、どんなことでもかまいません。

すると、「自分は明るく振舞っていたけれど実は緊張する相手だったんだな」とか「口数は少なかったけど物静かでいい人だったな」など、自分や相手に対しての様々な気づきが得られます。自分にとって相手はどんな人なのか、これからどんな付き合い方をすれば自分にとって心地よいのかが、見えてくるでしょう。

これを繰り返していると、苦手だけど付き合わなくてはいけない相手ともうまく距離がとれるようになったり、自分にとって大切にしたい人がはっきりと見えてきたりします。

自分にとって心地よい人間関係を築くための処方箋として、定期的に行うことをおすすめします。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医