マインドフルネスの話

マインドフルネスで正しく自己評価をする

毎日の仕事のなかで「今日はうまくいった」「満足いく成果が得られなかった……」など、自分自身で毎日振り返りを行うことは、成長のためにとても有効なことです。

しかし、自己肯定感が低い傾向がある人の場合は、「やはり自分は何をやってもダメなんだ」「劣った自分ができるわけがなかった」などと、実際以上に悪い評価をしてしまうケースが良くあります。これでは、せっかくの振り返りが次の仕事の成功の糧にすることができなくなってしまいます。

振り返りで重要なのは、全体的にとらえるだけでなく、「部分視」をもつことです。つまり、自分がとった行動や内容について「細分化」をしてとらえる視点ももつことが大切です。

失敗したとしたら、どの段階で問題が起きたのか、想定外の要素は何だったのかなど、時間や出来事を仔細に検証してみることで、次につなげることが明確化します。

また、こうした部分視は、自分だけでなく第三者からもフィードバックを得るとさらに有効です。自分とは違う思考や反省点、解決法を得ることで、新たな気づきを獲得することができるでしょう。

第三者からのフィードバックを受けることに抵抗を感じたり、怖かったりすることもあるかもしれません。しかし、それはあなた自身を否定するためのものではなく、仕事に対するものであることを忘れないでください。ダメだったところだけでなく、良かったところも合わせて振り返りをするのもよいでしょう。

うまくいかなかった仕事をただ「ダメだった」「失敗した」と終わらせず、マインドフルネスに出来事の事実を子細に見つめなおし、第三者の視点も取り入れながら客観的に分析すること。これが、本当の意味の振り返りになります。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医