マインドフルネスの話

「想定外」に強くなるマインドフルネス

予定が急に変わったり、不測の事態が発生したとき、動揺して思考がストップし「もうダメだ…」となってしまう人と、あっさりそれを受けいれて代替え案を出し、即行動する人がいます。この2者の違いは何かというと「認知的柔軟性」があるかどうかです。

認知的柔軟性とは、外部から刺激を受けたときにそれに合わせて柔軟に考え方や行動を変えられる力のことです。新しい環境にもすぐに対応できたり、急な変化をすぐに受け入れることができたりと、いい意味で「こだわり過ぎない」能力ともいえます。

実際に、こだわりの強い完璧主義の人ほど、この認知的柔軟性が低いことが分かっています。すべてを滞りなく、ミスなく仕事をしたいという真面目な人ほど、いい意味で「程よくいい加減」ができない、というのは納得できる話ですね。

ただ、仕事をしていれば急な変更やトラブルは日常茶飯事です。そのため、完璧主義の当人にしてみれば、真面目に仕事に取り組むほどストレスが増すばかり…ということに。真面目な人ほどうつになりやすいともいいますから、心当たりのある人はぜひ認知的柔軟性を高めておきたいところです。

「もともとの気質だからそんなの無理!」と心配しなくても大丈夫。というのも、ボストン大学と北京大学が共同で行った研究によると、マインドフルネス瞑想を行うことで、この認知的柔軟性が高まることが判明したのです。

起きた出来事をありのままに見つめ、自分の感情で判断せずにただ受け入れる「マインドフル」な状態に自分を置けば、何が起きても平常心を保つことができるようになってきます。すると、思考停止に陥ることもなく、現状で可能な他の道筋を見つけることも難しくなくなるでしょう。

  • 日ごろから細かいところまで気になってしまう
  • 失敗するとずっと落ち込み続けてしまう
  • 急な計画変更がストレス
  • 取り越し苦労しやすい
  • 想定外のことが起こると、思考停止したり、すべてが嫌になってしまう

そんなことが思い当たる人は、ぜひ、毎日のマインドフルネスで柔らかい思考を養ってみてください。

参考:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2020.01053/full

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医