マインドフルネスの話

抗うつ薬に匹敵する効果!? うつ病再発を防ぐマインドフルネス

ビジネスシーンのパフォーマンスアップだけでなく、昨今、マインドフルネスは医療現場でも取り入れられ、その効果に注目が集まっています。中でも期待されているのが、うつ病に対する効果です。

うつ病の病歴がある人は、再発を繰り返すリスクが高いことが知られていますが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken博士らによる研究によると、マインドフルネスをベースとした認知療法(マインドフルネス認知療法:MBCT)を行うことでこのうつ病の再発リスクをも抑制することが分かりました。

この臨床研究では、3回以上の再発を経験したうつ病の患者さん424人を被験者として、半数を抗うつ薬治療を受ける群、残り半数をマインドフルネス認知療法(MBCT)を受ける群に分け、2年間追跡したところ、マインドフルネス認知療法の再発予防効果が、抗うつ薬の群と同等であることが判明したのです。

この結果から、薬物療法以外にもうつ病の再発防止効果を有する治療法があると、大きな注目と期待が寄せられるようになりました。

マインドフルネスの瞑想を行うことで脳の疲労をとり、ストレスの発生を抑制することはすでに知られている通りです。そして、ストレスによる負荷を受けたメンタルをケアするだけでなく、うつ病を繰り返すことを予防することまで期待できるというのは、非常に心強いニュースです。

仕事や生活に支障が出る前に、メンタルに不調を感じた時には主体的にメンタルを回復させる方法として、毎日のマインドフルネス瞑想をぜひ取り入れてください。

参考:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)62222-4/fulltext

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医