マインドフルネスの話

自制が効かない!「衝動買い」の裏側にあるものは?

ネット通販がすっかり定着し、非常に便利になった反面、気が付いたら「家の中が買ったものの段ボールだらけ…」というケースが増えてきているようです。

本当に必要なものであれば問題ありませんが、毎日、何かしら買うものをスマホやパソコンで探し回って…という衝動買いを繰り返している場合には、要注意。それはストレスによる「代償行動」である可能性が高いといえるでしょう。

代償行動とは、満たされない欲求や解消されないストレスを他の行動に置き換えて満たそうとすることで精神的な安定性を保とうとしていることをいいます。過度にお酒やギャンブルにはまってしまったり、過食などもこれにあたります。

たまの衝動買いであれば問題ありませんが、それが行き過ぎると経済的に大きな痛手を負うことにもつながります。

自分でもわかってはいるけどやめられないという人は、衝動買いをしてしまいそうなときに一度目を閉じ、数分間の呼吸瞑想を行ってみてください。その後で、自分は今買おうとしているものを本当に必要としているのか?それを買うことでどんな変化が自分に起こるのか?また、買わなかったら自分はどうなるのか?など、いろいろな方向からじっくりと考察してみましょう。
そして、今の自分にとって本当に必要なもの、本当に満たしたい欲求は何かについても探ってみてください。

衝動買いの裏側にある「疲れた体を休めたい」「ずっと会っていなかった友人と話したい」「忙しすぎる仕事を軽減したい」など、本当に自分が求めていたことが見えてくることでしょう。新たに気づいた欲求が満たせるか満たせないかは関係なく、その欲求を持つ自分を認めてあげるだけでも、心はずいぶんと軽減されていきます。

買い物のためのネットサーフィンをしたくなったときには、ぜひ、この時間をとることをおすすめします。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医