マインドフルネスの話

他者からの評価は「参考程度」、自己評価はありのままに受け入れる

人からの批判や批評は、誰もが気になるものです。高評価をもらえればいい気分になりますし、厳しい批判にさらされたときには傷つき、中にはひどく落ち込んでしまう人もいます。
しかし、ひとつ心に置いておくべきなのは「他者からの批判や評価については、絶対的な基準や根拠はない」ということです。

そのため、批判や批評をする人の感情にたやすく影響を受けるため、同じ事象に対してもその評価は玉虫色に変わります。
例えば、同じ仕事の成果に対しても、自分に敵意を持っている人は「まあたまたま運が良かったんだよ。あんなに時間をかけていたら当然の結果だ」となりますし、好意をもっている人ならば「丁寧な仕事をしたからしっかり結果に結びついた、素晴らしい」という評価になります。

同じように「豪快」は「無神経」に、「物静か」は「暗い」に、「明るい」は「騒がしい」と、あらゆる評価はちょっとしたさじ加減でいいようにも悪いようにもなるわけです。

つまり、他者からの批判や評価は「参考資料」程度にするのが適当であるということ。重く受け止め過ぎて落ち込んだり、完全に無視して捨て置くのではなく、自分の精神面を保ちながら冷静に受け止めることで、それに振り回されることもなくなります。

一方で、最も自分のことを隅々まで分かっているのは、自分自身です。自分の良いところも悪いところも、客観視してありのままに見つめ、その上で他者から提供された「参考資料」を照らし合わせることが大切です。その気づきの時間として、1日の終わりに呼吸瞑想を行うことをおすすめします。心静かに、自己評価と参考資料の照らし合わせができることでしょう。

この積み重ねによって自分にとって大切にしたい行動や感情、改善や反省が必要なところも見えてきて、人生の風通しがよくなっていくはずです。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医