マインドフルネスの話

眠れない夜のマインドフルネス

大事なプレゼンを控えた前夜。ベッドに入ってしっかり睡眠をとろうと思っても、明日のことを考えると緊張してきてしまった!
または、昼に人からかけられたあの言葉…いったい、どういう意味だったんだろう?もしかして怒らせるようなことをしてしまったのかもしれない…。

そんな緊張や不安で思考がグルグルと暴走したまま、どうしても寝付けない。そんな夜は、だれしもが経験したことがあるでしょう。

緊張や不安で頭のなかがいっぱいになると、心身を興奮させる自律神経である「交感神経」が優位になります。すると脈拍や血圧が上昇し、脳もヒートアップして睡眠からほど遠い状態にしてしまうのです。この心身のヒートアップは、自分の意志でどうにかしようとしても、なかなか止まらないものです。

そんなときには、静かに仰向けに寝そべり、マインドフルネス瞑想を行うことをおすすめします。ゆっくり静かに呼吸をして、その呼吸に注意を向けて過ごしてみましょう。すると徐々に心身をリラックスさせる自律神経である「副交感神経」が優位になります。脈拍や血圧は低下して、脳もリラックス状態に落ち着いていきます。

呼吸は自律神経を自分の意志でコントロールするための唯一の方法といわれています。ゆったりとした呼吸を繰り返し、その呼吸に集中するマインドフルネス瞑想をするうちに、自然と穏やかな眠りに自らを導いていけることでしょう。
眠れない夜のナチュラルな睡眠薬として、ぜひ試してみてください。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医