マインドフルネスの話

「ながら仕事」はNG!? 一つのタスクに全集中するマインドフルネス的仕事術

「音楽やラジオを聴きながら勉強をする“ながら作業”で効率が低下する」。
先日、東北大学のそんな研究発表が一斉に報道され、話題になりました。東北大大学院医工学研究科の川瀬哲明教授の実験によると、音楽を聞かせた状態で脳の反応を調べたところ、音量の大きさに関係なく脳の反応は抑制されることが分かったそうです。

川瀬教授は「運転や勉強などの注意を要する作業中、音楽を聴くことは注意力を低下させ作業効率に影響を与える可能性がある」と指摘しています。

翻って、マインドフルネス瞑想のプロセスとその効果に注目してみましょう。
様々な情報で混乱をきたした脳を、「今ここ」に集中することで整理し、クールダウンさせて集中力を高めるのが、マインドフルネス瞑想です。

つまり、私たちは複数の作業をしながらでは集中力が分散して効率を落とし、一つのことに集中することで集中力を高めてより効率よく行うことができるようになるということです。

音楽を聴きながら、モノを食べながら、スマホを見ながら仕事をする…誰もが思い当たることですが、「なかなか仕事の成果があがらない」「時間内に仕事が終わらない」という人は、仕事のやり方を見直してみましょう。そして、一つの仕事に全集中してみると、思いもよらない成果が得られるかもしれません。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医