マインドフルネスの話

良好な関係を築く「マインドフルリスニング」

新しいクライアントと、信頼関係を築きたい。でもどうやったらいいのか分からない…そんなときにぜひ実践していただきたいのが「マインドフルリスニング」です。

自分の会社について、交渉のメリットについて、事細かに話したくなるとは思いますが、まずは相手の話にとにかく集中する。それがマインドフルリスニングです。

日本における奉仕の精神を示す言葉に「滅私」というものがありますが、これは文字通り、自分の欲求を後回しにして相手を尊重することを指します。それを態度で表すことで、相手ははじめて、自分に対するリスペクトを感じて、信頼を寄せることができるのです。

もう一つコツをいうと、可能であれば話す相手に対しては正面ではなく、90度の位置に座るようにするとベターです。正面に座るとどうしても緊張感が生まれがちです。しかし、斜め前に座り、そこから視線を合わせることで、リラックスした雰囲気が生まれ、うちとけて話しやすい状態を作ることが出来ます。

アメリカの心理学者、カール・ロジャースはカウンセリングを有効にする要素として「積極的傾聴(Active Listening)」を提唱しました。これは、相手の立場に立って共感しながら理解すること、話を否定せず肯定的な関心を持つこと、真摯な態度で真意を確認しながら聴くことを原則としています。

相手の信頼を得るためには、うまく話すことよりも「聞くことが9割」と覚えておくことをおすすめします。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医