マインドフルネスの話

「マルチタスク脳」を「集中脳」にリセットする方法

「長時間読書ができなくなってきた…」「ひとつの仕事をやりはじめてもすぐに気が散ってしまう」。最近は、集中することが長くできない人が増加しているといいます。スマホでメールやSNSをチェックしながら動画サイトを見たり、パソコンで作業をしながら電話をしたりといったマルチタスクが習慣となった影響で、集中力が衰えている――そんな指摘をする研究も、昨今は多く出てきました。

スタンフォード大学の研究グループは、複数のタスクを一度に処理することが習慣になっている「ハイテクジャグラー」は、「集中力を大きく欠如する」と指摘しています。

とはいえ、現代社会の仕事には、どうしてもマルチタスクが必要な場面が多々あります。ではどうすれば私たちの集中力は守られるのかというと――「意図的にシングルタスクに集中する時間をつくること」です。

マインドフルネスの呼吸瞑想はもちろん、「音も映像も遮断してただ食べることに集中する」、「変わる景色を見つめることだけに集中しながら散歩をする」。もしくは「1時間のタイマーをセットして他のことは一切遮断して読書をする」のもいいでしょう。

とにかく一つの作業に集中し、没頭する時間を1日にのうちで30~1時間つくってください。

その時間が、目まぐるしく注意があちこちにスイッチする「マルチタスク脳」をリセットして、自然と「集中する脳」に調整してくれるでしょう。

参考:https://news.stanford.edu/news/2009/august24/multitask-research-study-082409.html

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医