マインドフルネスの話

胃腸の不調を防ぐ「マインドフル・イーティング」

気温も湿度もどんどん上がる季節になると、食欲減退や胃痛、胃もたれなど、胃腸の調子を崩す人が増えてきます。冷たいものや水分ばかりとりがちになり、栄養失調から早くも夏バテに…ということにならないためにも、マインドフルネスを活用した食事法である「マインドフル・イーティング」をぜひ試してほしいと思います。

マインドフル・イーティングとは、「食べる瞑想」のこと。「今、この瞬間」に意識を向けるマインドフルネスを、食事をしながら行う…というものです。これが「胃腸と消化機能を調節し、不調を改善する」とレビューしたのが、アメリカのメリーランド総合健康大学のクリスティン・E・チェアパック医師です。

レビューでは「食べ物と心と体のつながりに注意を向ける『心のこもった食事』をすることで、ストレスに起因する消化障害にポジティブな影響を与える」と結論づけられています。

具体的には、一口ずつフォークを置いて、30回咀嚼すること。そして、噛む間に深呼吸をすること。食べ物をよく見て、匂いを嗅ぎ、よく味わうことなどが必要な演習内容として挙げられています。また、食事環境においても、魅力的と感じる食器を使ったり、食事をする部屋から電子機器をすべて取り除くことも、指摘されています。

日ごろからテレビやスマホを観ながら、何を口に入れているのか分からないまま食事を終えている。そして、「どうも最近、胃腸の調子が悪いな…」と感じている方は、ぜひ次の食事は「マインドフル・イーティング」スタイルで食事をすることをおすすめします。

参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7219460/

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医