マインドフルネスの話

リーダーたちの幸福度を高めるマインドフルネス

複雑さを増し、10年先どころか5年先もよめない世界経済の中で、あらゆる業界のビジネスリーダーたちは、未曽有の課題に直面しているといえます。CEOなどの経営層トップはもちろん、現場を動かすマネージャーまで、それぞれが日々、様々なプレッシャーのなかで難しいかじ取りを行っていることでしょう。

当然ながら、一部のリーダーたちは不安やうつの症状に悩まされたり、燃え尽き症候群に陥ってしまうことも。そこまでいかずとも、気持ちが落ち着かなかったり、イライラしてしまったり…といった不安定な精神状態が続いてしまっている人も少なくありません。

そんなリーダー層たちに、マインドフルネスがメンタルケアに効果を発揮することが、昨今の研究で明らかになりました。

ニュージーランドのワイカト大学とマッセイ大学、アメリカのネブラスカ大学が行った共同研究によると、企業のトップ層、ミドル層、ジュニア層と起業家の4群に対して、彼らの心理的資本(希望、楽観性、回復力など)とマインドフルネスの仲介効果を調査。結果、すべての群のリーダーたちの精神的幸福に対して、マインドフルネスが影響を与える可能性があることが分かりました。そして、不安やうつ病、燃え尽き症候群とマインドフルネスは、負の関係にあることも判明したのです。

つまり、マインドフルな精神状態を日ごろから携えているリーダーは、そうではない人たちに比べより幸福感を得やすく、ネガティブな精神状態になりにくくなる可能性がある、ということです。

企業側もプレイヤー層だけでなく、より影響力を持つリーダー層に対してマインドフルネスを取り入れることで、企業全体のメンタルケアを強く底上げすることにつながりそうです。

参考:https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0037183

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医