マインドフルネスの話

猛暑の季節の「インドア歩行瞑想」

猛暑の季節になると、習慣にしていたウォーキングができない…と困っている人も多いことでしょう。外を歩くと熱中症になりそうな季節は、なかなか屋外で運動をするのが難しくなります。同じように、真夏になると「毎日の歩行瞑想を習慣にしていたけど、できなくなりました…」といった、残念そうな声がよく届くようになります。

そこで、おすすめしたいのが室内で行う歩行瞑想です。エアコンの効いた涼しい室内であれば、熱中症の心配もなく、安全に行うことができるでしょう。もともと、僧侶が行う歩行瞑想はお寺の禅堂(坐禅をするお堂)の中で行っているものです。

「でも、うちは歩き回るほど広くないから…」といった心配をする方もいますが、3~5歩ほど続けて歩けるスペースがあれば、十分です。しかも、瞑想で行う場合は、1歩の幅は通常の半歩~1/3歩くらいで行う上、「吸って足を上げ、吐いて足を下す…」といった超スローペースです。遮蔽物に突き当たったときに折り返せばよいので、広い室内でなくても十分に歩行瞑想を行うことは可能です。

背筋を伸ばして立ち、両手は前か後ろで組んで固定し、視線は2~3メートルほど先の床に落として準備をします。息を吸いながらゆっくりと片足を上げ、息を吐きながらゆっくりと少し先の床に下ろします。その時、床についた足の裏の感覚に注意を集中させます。呼吸は意図的に調節することはせず、自然なリズムに任せて下さい。そして足の運びを呼吸に同期させながら、床の温度、固さなどをじっくりと味わいます。これを繰り返すだけです。大体、1歩に10秒ほどかかるでしょう。呼吸と足裏の感触に集中しながら5~10分ほど続けるとよいでしょう。

蝉の声、夕立の音などが聞こえてきたら、それもまた味わいながら、盛夏の歩行瞑想を楽しんでください。

※歩行瞑想には様々な手法が知られており、ここでご紹介したものはその一つとなります。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医