マインドフルネスの話

仮想現実世界が強化するマインドフルネスの効果

メタ(旧フェイスブック)が早期参入したVR(仮想現実)の分野については、世界中のテック企業がその後を猛追し始めています。最近ではアップルもVRのヘッドセットを開発、近年中に発表することを明らかにしました。現在、ゲームやバーチャルSNS、ライブやスポーツ観戦などで主に活用されていますが、今後は教育やビジネスの分野にも、VRが広がっていくことは間違いありません。

そして今、VRを活用することでマインドフルネスの効果も強化される可能性が見えてきました。

オーストラリアのスウィンバーン工科大学とメルボルン大学が発表した研究によると、VRのマインドフルネスアプリを使用することで、メンタルに対してポジティブな影響が大幅に増加することが分かりました。

実験では、37人の参加者がVRヘッドセットを装着し、平和な森の環境という仮想現実のなかで男性ナレーターのガイドに従ってマインドフルネス瞑想を実施。実験の前後にそれぞれポジティブ及びネガティブな感情と覚醒のスコアを測定したところ、ポジティブな感情が顕著に増加しました。

参加者たちはそれぞれ「VRの視覚的、聴覚的な要素が現在の瞬間に集中することに役立った」「落ち着いた」「平穏を感じた」とコメント。研究者は「適切に設計されたVRアプリを使うことで、マインドフルネス実践者の集中を強化することができる」と語っています。

自宅やオフィスでマインドフルネス瞑想を行うときに、心が静まる音や景色のなかで瞑想をよりよいものにしたい。そんなニーズをVRが今後、広くサポートしていくのかもしれません。今後、VRヘッドセットもどんどん普及していくなかで、機会があれば、ぜひマインドフルネスのアプリも試してみてください。

参考:https://www.jmir.org/2020/3/e16106/

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医