マインドフルネスの話

マインドフルネスで「試験前の不安」を乗り越える

大事な資格試験や昇進試験の前は、不安やプレッシャーで押しつぶされそうな精神状態になるもの。もしくは受験生の子どもがいると、本人はもちろん、親も不安でいっぱいになりがちです。

こうしたテスト不安は、必要以上に心身ともに緊張状態にしてしまい、不眠や食欲不振、集中量の低下などの原因になることさえあります。また、試験前の過度な不安は、テスト結果に悪影響があると指摘する研究もあるので、適度な緊張感は保ちつつ、必要以上の不安は取り除きたいものです。

その方法として、マインドフルネスが有効であることが、昨今の研究で明らかになりました。
アメリカ・ノースカロライナ大学が行った研究では、85人の大学生を対象に、それぞれ6週間のマインドフルネスプログラム、3週間のマインドフルネスプログラム、偽のマインドフルネスを実施。6週間と3週間のマインドフルネスプログラムは、ボディスキャン瞑想や座位の呼吸瞑想などが、週ごとに選択して行われました。
介入前後に行われたテスト不安の測定(自己申告尺度)を分析したところ、学生たちのテスト不安は軽減され、「今、この瞬間に集中する」というマインドフルネスの傾向も高まることが確認されました。

マインドフルネスの呼吸瞑想を行うことで、試験に対する過剰な不安を軽減し、「今、目の前のやるべきこと」である学習への集中力を高めることが期待できそうです。
試験に対して「緊張し過ぎてしまう」「試験前になると腹痛や不眠になってしまう」などの悩みがある人は、ぜひ、不安に襲われた時のマインドフルネスを習慣にしてください。

参考:https://link.springer.com/article/10.1007/s12671-022-02002-6#Sec1

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医