マインドフルネスの話

ネガティブ情報から心を守るマインドフルネス

世界的な感染症の拡大や戦争に関する情報が日々、テレビやインターネットで報道されているなか、それに対して精神的な影響を受けてしまう人たちが増えているようです。

毎日のように、命や安全が脅かされている人々の様子を見聞きすることで、強い不安感を抱いたり、つらくなってしまったり。特に、他者の気持ちに共感しやすい人は、こうした「共感疲労」に陥りやすく、精神的にネガティブな状態になりやすいといわれています。

こうしたネガティブ報道から受ける憂鬱を、マインドフルネスが軽減することを示唆する研究が、昨今、発表されました。

中国の北京師範大学、マカオ大学の研究チームは、46人の参加者を14日間のマインドフルネスのトレーニングを受けるグループ、無関係なイントネーションのトレーニングをするグループ、何もしないグループに分割。その上で、全員に地球温暖化や政治に関するネガティブな情報を読んでもらいました。

その後、各グループに不安やストレスに関するアンケート調査を行い、分析したところ、マインドフルネスを行ったグループは、他のグループよりもネガティブ情報から受ける影響が軽減されることが確認されました。

研究者は「マインドフルネスを行うことで、主観的な苦痛や否定的な感情を減少させる可能性が示唆された」と語っています。

ネットからあふれるニュースは玉石混合でその信ぴょう性が怪しいモノも多々あります。それに日々、感情を振り回されないようにするためにも、客観的に物事を見つめ、認識する「メタ認知」を、マインドフルネス瞑想で養っていきましょう。それが、心を守ることにつながります。

参考:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2023.1071078/full

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医