マインドフルネスの話

集中力アップの効果を高めるコツ

従業員の集中力やストレスケアを目的に、マインドフルネスを研修に取り入れる企業は今やめずらしくなくなりました。しかし、その効果がどうもうまく得られない…というケースも同時にあるようです。
なぜそうしたことが起こるのかについて、回答のヒントとなる研究が昨今、発表されました。

福山大学が行った研究では、ある企業に勤務する安全衛生委員を務める従業員6名にマインドフルネスプログラムを実施。対面式で週1回1時間半のセッションを合計6回、6週間にわたって行いました。
トレーニングは、マインドフルな状態とマインドレスな状態について解説したのちに呼吸瞑想を実施するなど、マインドフルネスについての解説と実践を組み合わせる形で行われました。

結果、参加者全員のマインドフルネスレベルが向上。同時に、アンケートの分析から、具体的で明確な効果や目的を事前に説明することで、より受け入れられやすいという結果が示されたのです。
体験前にどのような効果があり、何のためのワークかを知ることによって、参加者は瞑想中に「何か大切なことをしているのだ」という実感を得ることができることが分かったのです。

つまり、企業で取り入れるときには「よくわからないと思うけど、とりあえずやらせてみればいい」では、あまり効果が期待できないということです。
もちろん、マインドフルネスは実際に瞑想を実践をしてこそ心身に良い影響をもたらす手法ですが、企業内で研修などの形で導入する際には、実践目的や効果機序に関する情報提供をある程度おこなっておくことが大切と考えられます。

参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjm/7/1/7_71_5/_pdf/-char/ja(PDF)

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医