マインドフルネスの話

がんサバイバーのためのマインドフルネス

マインドフルネスは医療分野において、世界中で取り入れられており、主にメンタルケアやうつの再発予防において、その高い効果が注目を集めています。
そして、最近では、がん患者のための精神的、社会的、身体的な問題をケアするために、マインドフルネスプログラムを取り入れる病院も登場しています。

アメリカのマサチューセッツ総合病院では、がんの初期治療を終えた患者や、がんを慢性疾患として抱えている患者を対象に、メンタルケアの一環としてマインドフルネストレーニングを行っています。

多くのがん患者は、治療中やその後に身体面だけでなく、精神面にも大きなストレスを抱えることが分かっています。特に、がんの再発に対する不安と恐怖感は、がんサバイバーたちが持つ多大なストレスとなります。

そうしたストレスを対処する心を養い、回復力を取り戻すサポートとして、同病院ではマインドフルネスを導入。トレーニングを受けた心理士(?)または精神科医がzoomで90分間のセッションを行い、ストレスに対応するための技術を学んでいるのです。

基質的な疾患を持つ患者を対象としたこうしたストレスケアは、日本では残念ながらまだ一般的ではありません。しかし、マインドフルネスの呼吸瞑想を行ったり、マインドフルな気づきのために専門書に目を通すといったことは、誰でもすぐに取り組めるでしょう。

病気への不安や恐怖がずっとついて離れない。それがストレスになっていると感じた時には、生活の中にマインドフルネスの考え方や呼吸法を、セルフケアとして取り入れてみてください。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医