マインドフルネスの話

マインドフルネス瞑想が運動能力を向上させる

近代スポーツにおいては、身体能力だけではなく、精神面もいかに鍛え、コントロールできるようにするかといった、メンタルトレーニングも欠かせないものとして、専門家が様々なトレーニング方法を開発、実践されるようになりました。

そんな中、マインドフルネスが両手協応運動における制御能を向上させる可能性があることを示唆する研究が、昨今、発表されました。

両手協応運動とは、両手が同時に動いて作用する種の運動のことを指します。それを制御する能力が高いということは、自らのイメージ通りの強さや速さで手を動かすことができるということ。テニスやゴルフ、バレーボールやバスケットボールなど、手を複雑に働かすことが求められるスポーツにおいては重要な能力といえます。

フランスのエクスマルセイユ大学では、マインドフルネス瞑想の前後で両手協応運動の制御能のレベルを測り、その違いについて調査する研究が行われました。

研究では、55人の参加者を、瞑想を行う群と行わない群に分け、それぞれ特殊な回転ハンドルを指示に合わせて正確かつ継続的に動かすといったかたちで両手協応運動の制御能を評価しました。結果、瞑想を行った群では、制御能が優位に向上することが確認されたのです。

実験で行われたマインドフルネス瞑想は、1回あたり15分間です。つまり、ゴルフをプレイする前に、15分間マインドフルネス瞑想を行うことで、両手の運動コントロール能力が向上してよりよいスコアを出す可能性が高まるということです。

もし、スポーツで伸び悩んでいるというときには、マインドフルネス瞑想を実践することが突破口になるかもしれません。ぜひお試しを。

参考:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2023.1162390/full

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医