マインドフルネスの話

ガン患者のメンタルケアとしてのマインドフルネス

国内のがん患者数は年々増加傾向にあり、日本人の最も多い死因も、長年の間、がんが占めています。そのため、がんと診断された患者さんは身体的な問題だけでなく、不安や心配、抑うつなどの精神的な負担に直面することが多くあります。

こうしたがん患者のメンタルケアとして、今、マインドフルネスを導入する医療施設が今、広がりを見せています。

イギリス・リーズ大学では、がん関連の心理的苦痛に対する非薬理学的介入に関する研究論文59件のメタ分析を実施。1万7628人の患者に対して行われた、マインドフルネス、会話療法、グループ療法などが、患者の苦痛に対してどんな影響があったかを調査しました。

結果、マインドフルネスによる介入が、最もがん患者の精神的苦痛を優位に減少させていることが分かったのです。

がん患者さんのなかには、精神的な苦痛がうつ症状や睡眠障害へつながるケースも少なくありません。マインドフルネスがそれらを緩和することは、多くの研究によってすでに裏付けされています。

瞑想をはじめ、生活の中で、自分ですぐに実践できるマインドフルネスをメンタルケアに導入することは、患者さんにとっても、そのご家族にとっても非常に大きなサポートとなるでしょう。

参考:https://bmcpalliatcare.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12904-023-01202-8

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医