マインドフルネスの話

孤独感を軽減するマインドフルネス

昨今の研究で、「孤独はタバコや飲酒、肥満よりも死亡リスクを高める」と発表されたことが話題となりましたが、さらに、社会的なつながりが少ないと脳卒中や心臓病、認知症の発症リスクを高めるといったことも分かってきました。

社会的な動物である人間は、人とのかかわりが希薄になることで孤独を感じることで、心身に大きなストレスをかけてしまうということが、よくわかります。
人生100年時代、いかに孤独と無縁でいられるかが、健康で長生きするための重要なファクターであることは、間違いないようです。

そんななか、「孤独を軽減するためにマインドフルネスが一つのサポートになる」――そんなことを裏付ける研究が、このほど発表されました。

中国の西南財形大学では、中国国内の退職した高齢者を対象に、マインドフルネスレベルと孤独感レベルをアンケート調査・分析したところ、マインドフルネスレベルが高いほど、孤独感が低くなる傾向があることが確認されたのです。

研究者は「マインドフルネスがポジティブな感情を促進し、ネガティブな感情を軽減することで、感情的適応を改善し、ストレスと孤独感の軽減につながっていることを示唆する」と指摘しています。

仕事をリタイアした後は、人間関係が希薄になったり、気持ちの張りがなくなったり、外出の機会も減って、気持ちが落ち込んでしまいがちです。実際に、高齢者のうつ患者も増加傾向にあります。マインドフルネスの考え方を学んだり、呼吸瞑想をすることで、そんなネガティブ状態に陥ることを予防し、孤独感と無縁な明るいリタイア生活を楽しめるようになるかもしれません。ぜひ、生活習慣として取り入れてみてください。

参考:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13607863.2023.2240261

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医