マインドフルネスの話

ストレスホルモンを低下させるマインドフルネス

心身に及ぶストレスを感知したとき、それに対抗する体の準備をするために分泌されるのが「コルチゾール」というホルモンです。コルチゾールは別名「ストレスホルモン」とも呼ばれ、脈拍や血圧を上昇させて体を緊張状態にしたり、脳を覚醒したりすることで、ストレスと対抗する働きを行っています。

体にとって重要な働きをしているコルチゾールですが、過剰に分泌されてしまうと、今度は逆にうつ病や慢性疲労の原因になることも。ストレス要因にあふれた現代社会では、こうした過剰なコルチゾールの分泌が日常化してしまい、心身を損なう人が増加しています。

コルチゾールの過剰分泌を抑えると同時に、ストレスを軽減する効果があるのが、マインドフルネス瞑想の習慣化です。

スイスのバーゼル大学が行った研究によると、最もコルチゾールの分泌が増える起床時であっても、マインドフルネス瞑想を行う経験が長い人ほど、その分泌量が減ることが分かりました。同時に、ストレスコントロールや睡眠に対しても、ポジティブな影響があることが確認されたのです。

この研究から分かったポイントは「瞑想は長期間行うほど抗ストレス効果が高い」ということ。つまり、歯磨きと同じ感覚で「やるのが当たり前の習慣」にするほど、ストレスに強くなるというわけです。

入眠もスムーズになるうえ、ストレス軽減にも役立つので、就寝前の5分間、静かにマインドフルネス瞑想をすることをおすすめします。

参考:https://karger.com/nps/article-abstract/65/3/109/233511/Influence-of-Mindfulness-Practice-on-Cortisol-and?redirectedFrom=fulltext

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医