マインドフルネスの話

マインドフルネスで産後うつを予防する

我が子を出産した後、かわいい赤ちゃんの誕生でうれしいはずが、なぜか気持ちが落ち込んでしまう。悲しくて涙が止まらなくなったり、不安に押しつぶされそうになる……そんな状態が2週間以上続く場合は、「産後うつ」に陥っている可能性が高いといえます。

産後うつは産婦のおよそ10%が罹患するといわれており、産後の体力の衰えと新生児のお世話による睡眠不足、周囲の育児サポートの不足などで症状が悪化したり、回復が遅れたりすることが少なくありません。

この産後うつの予防に、マインドフルネスが役立つことが最近の研究で明らかになりました。

イタリアのサンラッファエーレ病院、トル・ヴェルガータ大学などが行った研究によれば、妊娠中にマインドフルネス療法(Mindfulness Based Intervention: MBI)を実践した妊婦は、実践していない妊婦と比べて出産後の産後うつの症状が有意に少ないことが確認されました。

マインドフルネスにうつを予防する効果があることは、これまでに多くの研究で明らかになってきたこと。そして、それは産後うつにも有効であったことが、本研究で明らかにななりました。

出産前後は楽しみ半分、不安半分になるもの。初産の場合はなおさら不安が膨らむことでしょう。産休中にはぜひマインドフルネスの呼吸瞑想を実践する時間をとって、メンタルケアの習慣をつくることをおすすめします。

参考:https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/jicm.2023.0114

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医