マインドフルネスの話

自律神経が「ととのう」マインドフルネス

最近はサウナが大変なブームで、その理由の一つに「ととのう」ことの気持ちよさがあるのだと思います。高温のサウナから出て、水風呂で一気に冷やし、外気浴で休む……このワンセットを行うと、頭と体がすっきりとした感覚や恍惚感を味わえる。この「ととのう」感覚がストレス過多な現代人から指示を受け、サウナファンが一気に増えたのでしょう。

実は、マインドフルネスでも、「ととのう」という言葉はおなじみです。マインドフルネスでいう「ととのう」とは、「自律神経が調整されている状態」を指します。

自律神経には、体が覚醒状態のときに優位になる「交感神経」と、リラックス状態の時に優位になる「副交感神経」の2つがあります。この切り替えが適切に行われることで、体温や血圧、心拍、消化、代謝などが健全な働きをすることができます。

ところが、精神的なストレスや過労、温度や光などの刺激が過剰になることによって、自律神経のバランスが崩れることがあります。すると、不眠や頭痛、動悸やのぼせ、下痢や便秘などの身体的な症状のほか、イライラやうつなどの精神的な症状が現れてしまいます。

この重要な働きを持つ自律神経が「ととのう」状態が、「マインドフルネスの状態」。つまり、マインドフルネス瞑想には、自律神経のバランスを整える効果があるということです。より正確にお伝えすると、マインドフルネスを実践すると「自然とととのっていく」というイメージです。

「自律神経が自然とととのっていく」状態にするには、まずは呼吸瞑想を実践するのがおすすめです。一日10分でいいので、静かに集中できる時間をつくり、自分の呼吸にただ集中する。そんな習慣が、ストレスの多い毎日から自律神経の健康を守ることにつながるでしょう。

ちなみに、前述のサウナを活用した画期的な瞑想法を、ヨガ指導者の綿本彰さんが紹介していますから、サウナ愛好家の方には以下のリンク先をご参照いただければ幸いです。

参考:https://totonoi-jikan.jp/sauna.html

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医