マインドフルネスの話

ガン患者の苦しみを軽減するマインドフルネス

日本人の死因第1位は「悪性新生物」つまり、がんです。がんは世界における死亡原因第2位でもあり、誰もが罹患する可能性があるといえるでしょう。

そのため、「がんになったら終わり」「がんは死に至る病」と受け止める人は多く、がんそのものがもたらす苦痛だけではなく、強い不安からくるうつ症状や睡眠障害に苦しむ患者は少なくありません。また、治療後の再発への恐怖にとらわれる人も多いといえます。

そんながん患者の精神的な苦痛に対して、マインドフルネスが役立つことを示唆する研究が、昨今、発表されました。中国の長春中医薬大学が合計962名の参加者による10件の研究をメタ分析したところ、オンラインのマインドフルネスに基づく介入を行った被験者は、苦痛やうつ症状、ストレス、睡眠障害などが減少することが確認されたのです。

研究者は「がん患者のがん関連症状に対する補助的な療法として、マインドフルネスが役立つ可能性がある」と語っています。

マインドフルネスの呼吸瞑想は、静かな時間と環境があれば、いつでもどこでも行うことができます。体を動かす活動が難しくなった患者でも、比較的実践することは容易であるため、治療中はもちろん、治療後のメンタルケアとしても役立つ補助療法となるでしょう。

参考:https://academic.oup.com/jjco/advance-article-abstract/doi/10.1093/jjco/hyad101/7241414?redirectedFrom=fulltext

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医