マインドフルネスの話

マインドフルネスがうつ病・不安症患者の立ち直りをサポート

うつ病や不安症は慢性的な疾患であることから、一度改善したとしても、その後も引き続き社会生活を営むうえで十分な精神状態を維持し続けることはなかなかに困難といえます。

うつや不安症といった精神的な症状がある患者の「パーソナルリカバリー」(病気や障害を受容し新たな人生の意味や目的を見出し充実した生活を送る過程)に、マインドフルネスが大きく寄与する。そんな可能性を示唆する研究が、昨今、発表されました。

関西医科大学の研究では、うつ病および不安症の患者13名を対象に、週1回、各1.5時間のマインドフルネスベースの作業療法プログラムを8週間にわたり実施。結果、患者たちのリカバリープロセス尺度が優位に改善することが確認されました。同時に、この改善が追跡調査後も持続することも判明したのです。

さらに、参加者の脳波を解析したところ、抑うつ症状の改善や幸福度の向上を示す反応が見られたとのこと。つまり、マインドフルネスベースの作業療法プログラムは、症状を軽減すると同時に、その後もその効果が持続する治療となり得ることが分かりました。

薬物療法だけではなかなか社会活動への復帰が難しいケースにおいて、マインドフルネスベースの作業療法を併用することが有用な治療法になる。そんな可能性が見えてきました。

参考:https://www.kmu.ac.jp/news/laaes7000000pj5l-att/20230816_PressRelease.pdf(PDF)

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医