マインドフルネスの話

妊娠中のマインドフルネスが子どもの神経発達に影響

妊娠するのは女性にとって大きな喜びである一方、心身やライフスタイルに大きな変化を余儀なくされるため、ストレスを感じてしまうことも珍しくありません。特に、初めての妊娠・出産を迎える女性にとっては、様々な不安や恐れを抱くこともあるでしょう。

こうした妊娠期の女性たちのストレスケアにマインドフルネスを導入することで、妊婦だけでなく、子どもたちの発達にも良い影響があることが、最近の研究で明らかになりました。

スペインのバルセロナ大学が行った研究では、在胎週数に対して小さい新生児を出産するリスクが高い妊婦1221人を地中海食、マインドフルネスのストレス軽減プログラム、通常ケアの3つのグループに分け、出生後、2歳の時点で評価を行いました。

結果、通常のケアグループの子どもたちと比較して、マインドフルネスのプログラムグループの子どもたちは社会感情領域のスコアが優位に高くなることが分かりました。研究者は「妊娠中のマインドフルネスプログラムによるストレス軽減が、子どもの神経発達を改善する可能性がある」と語っています。

ちなみに、地中海食グループでも認知領域、および社会感情領域のスコアが高くなることが、確認されています。

妊娠中のストレスコントロールは栄養管理と同様に、生まれてくる子どもたちの発達に大きく影響することがわかります。まさに心と体は一つ…ということですね。妊娠中のストレス軽減にマインドフルネスを取り入れて、母子ともに心身の健康をキープしていきましょう。

参考:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2808558

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医