マインドフルネスの話

マインドフルネス瞑想+香りで集中力アップ!

呼吸瞑想は、日常に取り入れやすいマインドフルネスのメソッドのひとつ。朝起きた時、仕事の合間に、就寝前に、バスタイムにと、やりやすいタイミングで取り組むことができるのがメリットです。

とはいえ、はじめたばかりのころは「どうしてもすぐに呼吸から意識が離れてしまう…」「すぐ違うことで頭がいっぱいになる!」と、なかなかコツがつかめない人も多いよう。
そんなときの集中の助けとして、「香り」を瞑想に取り入れることはとても有効です。たとえば坐禅中にお線香を焚くことは、禅の世界で伝統的に護られてきた作法です。

仏教でお香を焚くのはお花や水と同様に、仏様へ「香り」をお供えする、という作法の一つ。加えて、お香には「感格鬼神(かんかくきじん)」といって、感性を研ぎ澄まして瞑想への集中を助ける効能があることを、あの「一休さん」でおなじみ、一休宗純禅師が室町時代に説いたとされます。

マインドフルネスの呼吸瞑想では、お香やアロマオイルなど、どんな香りでも好みに合わせて選択するとよいでしょう。一般的には、レモンやペパーミントは集中力を高めるといわれているため、朝、仕事前の集中力を高めたいときにはぴったりです。夜の就寝前であれば、精神をリラックスさせて安眠効果があるといわれるラベンダーやカモミールがおすすめです。またサンダルウッド(白檀)の香りは、古来より瞑想に適しているとされています。

香りの準備ができたら、静かに座るかあお向けになって、呼吸瞑想を始めます。息を吸い込んだときに鼻腔から香りが流れ込んでくる感覚、息を吐いたときに香りが鼻腔から流れ出ていくイメージに、意識を集中してみてください。

ただ呼吸をするよりも、香りが意識を集める助けとなって、いつもよりも呼吸瞑想が深くなったような感覚が得られることでしょう。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医