マインドフルネスの話

ドイツで「片頭痛予防」にマインドフルネスを推奨

猛暑から一気に涼しい秋を迎え、ホッと一息付ける頃です。しかし、季節の急激な変化で体調を崩してしまう人も少なくありません。中でも、環境変化で誘引されやすいのが、片頭痛です。

片頭痛は日本全国で患者数が840万人いると推定されている、非常に多い疾患で、主として頭の片側に発作的に出現する、ズキズキと脈打つような痛みが特徴です。男性と比べて、女性はその患者数が3~4倍多いとも言われています。環境変化の他、ストレスや睡眠不足なども痛みが起こる原因で、痛みが始まると寝込む状態になってしまうこともあり、日常生活に大きな支障を生む原因にもなっています。

この悩ましい片頭痛を予防する方法として、薬物療法と並んで、マインドフルネスが推奨されているのが、ドイツです。

ドイツのフライブルク大学医療センターが行った研究では、片頭痛患者62名をマインドフルネスのストレス軽減プログラム、漸進的筋弛緩法、心理教育の3グループに分け、それぞれ実践してもらいました。結果、マインドフルネスを行ったグループはそのほかのグループと比べて、心理的症状や痛みに対する知覚レベルが優位に改善されることが確認できました。

片頭痛の治療においては、鎮痛剤の服用により胃痛や吐き気などの消化器症状、倦怠感、眠気などの副作用が生じたり、痛みを抑えようと服用量が増えていってしまうリスクもあります。非薬物療法として、マインドフルネスを習慣にすることで、こうした問題も痛みとともに軽減されることが期待されます。片頭痛に悩む方は、ぜひ実践してみてください。

参考:https://karger.com/cmr/article-abstract/27/1/19/67811/Is-Mindfulness-Based-Stress-Reduction-a-Promising?redirectedFrom=fulltext

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医