マインドフルネスの話

世界のリーダーたちが知る「正しい決断」の秘訣

自分の裁決ひとつで、数万の従業員の運命が決まり、数百億の株価が変動する――そんなプレッシャーの中で戦う大企業のリーダーたちがいます。スティーブ・ジョブズ、稲盛和夫など、世界の名だたるリーダーたちは、そんなプレッシャーのなかで、数々の決断を下し、成功を積み上げてきました。

そうした世界のリーダーたちの共通点が、「心幹(しんかん)」です。自分を信じ、正しいと方向へと進んでいける1本の軸となるものです。

激しい競争、膨大な情報、加速してゆく時代の流れ、それらのなかでも自分を見失わずに正しいと信じる決断を下すためには、精神的な軸が必須となります。この軸を、メンタルトレーニングの分野では、心幹と呼びます。心幹は自分と向き合い、自分の本質を知り、それをそのまま受け入れる――心理学でいうところのメタ認知を育むこと、禅の本質である「自己の本分」を知ることと同義といえるでしょう。

実際に、スティーブ・ジョブズは熱心に禅の修行に取り組んでいました。そしていま、世界のトップリーダーたちは、こぞってマインドフルネスを取り入れています。
忙しいビジネスパーソンほど、日々の膨大な情報やタスクのなかで自分を見失いがちです。マインドフルネス瞑想を習慣にすることで「正しい決断」を導き出せる自分を、ぜひ養ってください。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医