マインドフルネスの話

マインドフルネスが「太る食べ方」を改善

現在、世界的に急速に肥満が広がっており、世界保健機関(WHO)は「世界の肥満人口はここ50年で3倍に増加している」と指摘しています。また、肥満は新型コロナウィルス罹患時の重症化、死亡リスクを高めることもわかり、肥満の改善は世界の課題であることは間違いありません。

ダイエットのためには、何よりも食習慣の改善が必須ですが、そのサポートにマインドフルネスが役立つ可能性が今、示唆されています。

南カリフォルニア大学が2014年に発表したところでは、過食行動に対してマインドフルネスを導入した21件の研究を分析したところ、86%にあたる18件の研究で、肥満の原因となるストレス食いや過食などの摂食行動を改善させる有効性があると報告されました。

研究の中では「肥満している人は非肥満者よりも感情的な食事をする傾向が強い」という示唆もありました。つまり、肥満になった人の多くがネガティブな感情を抑えるために高脂肪のスナック、甘いものを過食していた――ということです。

マインドフルネスの導入によって、過食の引き金となるネガティブ感情が軽減されることでリバウンドも起こりにくくなり、長期間体重を維持することにもつながることも分かりました。

コロナ禍による自粛生活の中、体重が増加した人が多くなってきています。運動不足だけでなく、ストレスによる過食も背景にはあることは間違いありません。1日1回のマインドフルネス瞑想で過食の引き金となるネガティブ感情を解消することで、体重増加を防ぐことにつながる可能性があります。今日からぜひ、実践してみてください。

参考:
G A O'Reilly,L Cook,D Spruijt-Metz,D S Black.Mindfulness-based interventions for obesity-related eating behaviours: a literature review. Obes Rev.2014 Jun;15(6):453-61.

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医