マインドフルネスの話

過剰な飲酒が気になったときのマインドフルネス

「酒は百薬の長」という言葉はお酒が好きな人たちにとっては、免罪符ともなるよい響きかもしれません。しかし、近年では「たった1杯でも健康リスクを高める」という研究も出てきていますから、やはり、過度で頻繁な飲酒習慣は控えたいものです。

とはいえ、人から誘われるとついつい飲み過ぎてしまったり、自宅で時間ができると何となくお酒を飲み始めてしまい、気が付いたらすっかり酔っ払っていた…という人は多いようです。

「最近ちょっと飲み過ぎているかも…」とコントロールが効かないことが心配になったらマインドフルネス瞑想の実践がおすすめです。マインドフルネス瞑想は、アルコール摂取量を減らすだけでなく、タバコや薬物の依存度も減少させることが分かっています。

依存症治療の専門機関である、国立病院機構久里浜医療センターでも、アルコール依存症の治療に呼吸瞑想やボディスキャンなどのマインドフルネストレーニングが取り入れられているほどです。

そもそも、お酒の量をコントロールできない背景には、仕事や人間関係による感情的なストレスが引き金になっていることがよくあります。そうした感情に気付くことで、行動の制御ができるようになったり、何となく手が出てしまう「自動操縦」の状態から抜け出すこともできるようになるでしょう。

酒量が多くなりがちな年末年始には、1日数分でよいのでマインドフルネス瞑想の時間をつくり、自分をコントロールする力を取り戻していただくことをお勧めします。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医