マインドフルネスの話

モチベーションの質を高めるマインドフルネス

「指示されたことしかできない」「自分で考えて行動できない」――昨今、リーダー層からこんな悩みが多くなっているといいます。自ら考え、行動する意欲、「モチベーション」は、ビジネスにおいては業務への意欲、目標達成への意欲です。
つまり、スタッフのモチベーションをいかに引き出せるかが、組織のリーダー層の最も重要な役割ともいえます。

他者から強く指示をされるなど外圧からのプレッシャーから生まれる動機は「外的モチベーション」といわれ、ストレスや怒りの増大につながるため、心身や仕事の成果に対してマイナスの影響を与えるといわれています。

対して、自らの興味や意志を燃料として内側から生まれる「内発的モチベーション」は、心身のパフォーマンスを高めるポジティブなものです。

「マインドフルネスの実践が、内発的モチベーションを高めることに影響する」と発表したのが、オーストラリアカトリック大学ポジティブ心理学教育研究所のリチャード・ライアン教授です。

世界的なモチベーション研究者である同氏が7,108件の論文をスクリーニングし、質の高い論文をメタ分析した結果、「マインドフルネスは自律的なモチベーションにプラスの影響を与え、促進させた」と結論付けました。

「仕事への意欲が低下している…」「どうも最近、やる気が出ない…」
そんなときには、マインドフルネス瞑想を行ってみましょう。自分の内側から意欲がまた新たに生まれてくるきっかけになるかもしれません。

参考:https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09637214211009511

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医