マインドフルネスの話

マインドフルネスで「GRIT(やり抜く力)」を伸ばす!

ある目標に対して、最後まであきらめずに粘り強く取り組み、やり遂げる力--「GRIT(グリット)」こそ、才能やIQや学歴以上に、社会的な成功を収めるための重要な要素である。そう提唱したのが、ペンシルバニア大学の心理学者教授、アンジェラ・ダックワースです。
著書の『やり抜く力 GRIT』(ダイヤモンド社発行)は、世界中でベストセラーとなり、教育界やビジネス界でも大きな注目を集めました。

昨今の研究で、このグリット(やり抜く力)と「マインドフルネス的思考」には、大きな相関関係があることが明らかになりました。

スペイン・グラナダ大学心理学部の研究では、134人の参加者に対してグリット、衝動性、マインドフルネスの3つの特性に従って性格を評価すると同時に、柔軟性、抑制、作業記憶などの認知能力も同時に測定しました。結果、より高いグリットスコアを持つ人は、マインドフルネスの性格特性が高いことが判明。さらに衝動性は低く、認知能力との関連はあまりみられないことも分かりました。

研究者は「すべての情報に注意を払いながらも、その情報に対して依存し過ぎない能力が強い。山の頂上に至るためには必ずしも高い能力が必要なわけではなく、環境に注意する必要があるということだ」と語っています。

つまり、最後まであきらめずやり遂げる力は、「高い気づきの能力を持ちながらも、それに影響を受け過ぎない」性格との関連が強いことが分かります。

気づきの力を養い、それに対して判断せず、ただ受け入れる。そんなマインドフルネスの状態に自分を置くことで、目標にたどり着く「グリット」力が備わることが期待できそうです。ぜひ、今日からグリット力を養うマインドフルネス瞑想を始めてみてください。

参考:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0269448

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医