マインドフルネスの話

秋の夜長は、呼吸瞑想で安眠を

過ごしやすい気候になる秋の夜長は、ベッドで心地よい睡眠が楽しめる季節。しかし、日本人を対象にした調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養が取れない」「不眠がある」とのことで、不眠症はもはや国民病ともいえるようです。

どうも寝つきが悪い。横になるとあれこれと考え事をしてしまって眠れなくなる……。
そんな悩みがある場合には、マインドフルネスの呼吸瞑想がおすすめです。興奮状態にある脳と心を静めることで、自然な入眠を促すことが科学的にも明らかになっています。

アメリカの国立精神衛生研究所とコロンビア大学などの研究チームの発表によると、がんや糖尿病などの病気に伴う不眠や、不安障害、PTSDといった精神疾患に併発する不眠を有する人たちに対して瞑想プログラムの効果検証を行った研究論文18本を解析したところ、睡眠時間の延長、熟睡感の増加、さらには睡眠に対する満足度の向上が確認されたのです。

つまり、様々な要因を持つ睡眠障害において、マインドフルネスの呼吸瞑想は有効に働くことが確認されたということです。

ベッドに横になったら、静かに自分の呼吸に意識を集中する。これだけで、つらい不眠の症状を緩和させられる可能性がるのです。睡眠薬に頼る前に、副作用の心配のない、今すぐできるマインドフルネスの呼吸瞑想を試してみてください。

参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6557693/

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医