2022.10.07
「完璧主義をやめたい」ときのマインドフルネス
自分に厳しい目標を科して、常に努力を怠らない。そんな完璧主義の気質がある人は、とても真面目で堅実であるために、周囲からの信頼も厚く、頼れる存在です。
しかし、本人にしてみれば、仕事でもプライベートでも常に100点満点を目指して頑張り続けているために、どうしても息切れがして疲れ果ててしまうことも少なくないでしょう。とはいえ、「少し手を抜いてみたら?」と人から言われても、「どこをどう手を抜いたらいいの?」とさらに悩んでしまうのが、完璧主義の気性の持ち主です。
そのためにストレスがたまってしまったり、ひどい場合には「燃え尽き症候群」となって、鬱々とした精神状態に陥ってしまうことも。
自分はどうも完璧主義の気質が強くて疲れてしまう…と感じた時には、一度精神面をリセットするために、マインドフルネスの呼吸瞑想を試してみてください。
オーストラリアのマッコーリ―大学が行った研究によると、マインドフルネスの呼吸瞑想を行うことで、心理的苦痛など、完璧主義の悪影響を軽減できることが分かりました。研究では、完璧主義傾向が中程度~極端に強いレベルの大学生70名に、完璧主義の悪影響を軽減するよう設計されたマインドフルネスのオンラインプログラムを受けてもらいました。プログラムには、社会的耐性を高めるためのテクニックなども含まれました。
結果、2週間後のフォローアップで、完璧主義傾向が小~中程度に減少したことが分かりました。参加者は「自己への思いやりが増し、社会的交流が改善された」と報告しています。
人から「完璧主義」とよく指摘される、もしくはその自覚があり、精神的な疲れを感じるときは、ぜひマインドフルネスの呼吸瞑想を行い、一息ついてください。張り詰めた精神状態がゆるめば、きっとほどよく力が抜けてくることでしょう。
参考:https://link.springer.com/article/10.1007/s12144-022-02953-y
川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医