マインドフルネスの話

インターネット中毒とマインドフルネス

自宅はもちろん、オフィスや移動中、トイレや入浴中でさえもネットの閲覧が止められない。少しでもスマホを手放すと落ち着かなくなる……そんな過度なインターネットの使用が自分で止められない状態のことを「インターネット依存」と呼びます。

少しでもネットがつながらないとパニックを起こしたり、生活や仕事に支障をきたしたり。中には、重度の精神症状をきたすケースもあります。昨今、こうしたインターネット依存に陥る人が急激に増加していることが、世界中で問題視されています。

中国・中部師範大学が行った研究では、このインターネット依存によるストレス症状を、マインドフルネス瞑想が緩和することを明らかにしました。

研究に参加したのは、インターネット依存状態にある68人の大学生です。研究では、参加者のストレスが高い状態にあるときほど、インターネットへの渇望が増強されることが確認されました。研究者は「ストレスは依存関連の刺激を敏感にさせる可能性がある」と指摘しています。

そして、このストレスに対処する方法としてマインドフルネス瞑想が有効であることも確認されました。マインドフルネス瞑想を行うことで、ストレスの影響を軽減し、依存行動への渇望を緩和できることが分かったのです。

研究者は本研究を「インターネット依存を防ぐためのマインドフルネスに基づくプログラムを開発する、理論的な基礎となりうる」と結論づけています。

ストレスが高まるにつれてお酒を飲み過ぎたり、過食に走ってしまう人は少なくありません。そして、インターネットもまた、新たなストレスのはけ口となりつつあります。インターネット依存を避けるためにも、毎日のマインドフルネス瞑想によるストレス緩和を習慣にすることをおすすめします。

参考:https://akjournals.com/view/journals/2006/10/4/article-p983.xml

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医