マインドフルネスの話

怒りをぶつけられたときの心の対処法

「電車で移動中に、いきなり怒鳴られた」「職場でお客さんからののしられて…」など、あるとき突然、ちょっとした衝突で相手が自分に対して強い感情をぶつけてきて、嫌な思いをした。そんな経験がある方は少なくありません。

怒りが爆発している人には何を言っても言葉が届かなくなるので、どうしていいか分からなくなるものです。もしくは相手につられて自分も怒りの感情がムクムクと大きくなり、言い合いになってしまう場合もあるでしょう。どちらにしても、ネガティブな精神状態のまま、後々まで引きずってしまうものです。

そんなときの対処法としてぜひ覚えてい頂きたいのが「三段階分析法」です。これはイギリスで開発されたマインドフルネスプログラムをシンプルにアレンジしたもので、自分の「思考」「感情」「体の感覚」の3つのポイントを分析、観察することで平常心を保つというメソッドです。

例えば、突然怒鳴りつけられたとき、思考は「嫌だなあ、逃げ出したいな」、感情は「嫌悪感」、体の感覚は「胸がドキドキして顔が熱くなる」と自分の内側で起こっている現象を、心の中でありのままに言語化します。この一つひとつをじっくりと観察するうちに、「自分は自分が置かれた状況がよくわかっている、大丈夫だ」と落ち着きを取り戻し、平常心が保てるようになるのです。

激高している人も、相手が落ち着いた様子を保っていると、徐々にクールダウンしてくるものです。そうなってくれば、徐々に冷静に話をすることも可能になってくるでしょう。

強い感情をぶつけられたときの平常心を保つコツとして、「三段階分析法」をぜひ役立ててください。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医